Dr.Grip G-SPEC(ドクターグリップ Gスペック):評価レビュー

文具評価

簡易評価

書きやすさ総評:4/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

書き味総評:1/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

概要

種類シャープペンシル
機構ノック式・フレフレ機構
グリップ素材シリコーンラバー
他素材樹脂
用途一般筆記
芯径0.3mm・0.5mm・0.9mm
消しゴムHERF-10
ラインナップブラック・ソフトブルー・etc
価格650円(税抜)
発売元株式会社パイロットコーポレーション

ドクターグリップGスペックは、パイロットより発売されているドクターグリップの一種です。

その他のドクターグリップとの違いとして、グリップが二重構造になっていたり、重量バランスに着目された設計がされたりしています。

価格は650円(税抜)とシャープペンの中では普通くらいと言えるでしょう。

特徴

①重量バランス

このペンは「重心付近」に重量を集中させた重量バランスを実現することにより、回転運動に関する値である「慣性モーメント」を小さくしているようです。これにより、少ない力でペンをコントロールできるようにして手への負担軽減を図っているようですが、少し問題点もありますので「長さ・重量・重心のバランス」の項目でお話しします。

②二重構造のソフトグリップ

シリコンのグリップについて、外側を内側よりも高硬度とした二重構造にすることで、適度な柔らかさを保ちながらも安定感のある握りが可能となっています。表面のさらっとした手触りも特長だそうです。

③フレフレ機構

ペンを振ることで芯を出せる機構を搭載しています。これにより、ノックの手間が省かれたノンストップ筆記が可能となっています。

使用感

全長142mmグリップ径12mm
クリップ距離84mm先端長3mm
重量19.7g慣性モーメント
重心69mm特記事項

長さ・重量・重心のバランス

書きやすさ:4/5点 書き味:4/5点

前述の通り、「重心付近」に重量を集中させることで「慣性モーメント」を小さくし、最適な重量バランスを実現しているそうです。

しかし、ここには一つ大きな見落としポイントがあり、それによって残念ながら「最適」とは言えない結果となっています。

そのポイントとは「重心付近」に重量を集中させているというところです。ボールペンの方のGスペックなど含めて公式サイトを見る限り、どうやら重心=回転中心と捉えているようですが、そうではありません。これは例で考えるとわかりやすく、仮に重心が先端から100mmのところにあったとして、そこが回転中心になるわけではありません。

さて、このペンの重心は69mmとやや高重心寄り。一方で回転中心は大抵60〜65mm(よく低重心と言われる位置)の間に収まりますから、回転中心に重量が集中しているわけではありません。したがって、慣性モーメント的に最適なバランスかと言われるとそんなことはなく普通に重さを感じてしまいます。

加えて、低い位置にあればまだよかったものの、やや高めの位置に重量が集中してしまっているので、確かに軽く書けるけど変に重いような…みたいな独特な違和感を生み出してしまっています。これは、重心が高いことによって、地面よりも手に重さが乗っかるため引き起こっていると思われます。普段から低重心のペンを使っている人ほど違和感を感じてしまうでしょう。

さらに、先端の素材が軽い金属かと思いきやそこそこ重めだったので、ここも慣性モーメント的には減点ポイントとなっています。

もちろん、錘のある場所は回転中心寄りではあるので、重さが一様に分布している同重量のペンと比べると圧倒的に軽快に書けますが、どうせなら低重心設計にして、そこに重量を集中させて欲しかったと思ってしまいます。

書き味への影響に関しては、19.7gはそこそこ重めでコツコツ感に貢献しているため、そこそこ良い点数となります。

握りやすさ・質感

書きやすさ:5/5点 書き味:0/5点

グリップに関しては文句なしで握りやすいです。シリコン製ですので滑らず痛まずで完成度が非常に高いです。

ただ、直接書きやすさに影響はしませんが埃が付着しやすいのでやや注意が必要です。

書き味の観点からは最悪クラスのグリップです。ふにゃふにゃしているのでコツコツ感の感じようがありません。まあ別に書き味に拘られたペンではないので気にする必要もないでしょう。

クリップ距離・形状

書きやすさ:4/5点

先端から84mmの位置はかなり低めですが、素材がボディと同じ樹脂で、とんがった部分もないためあまり気になりませんでした。

芯・リフィルの筆記感

書きやすさ:5/5点

初期芯でも特に問題なく書けました。

ペン先の視界・ガタつき

書きやすさ:4/5点 書き味:5/5点

先端の形状がボールペンに似ています。書きにくいことはないですが、特別見やすいわけでもありません。

ペン先のガタつきはありませんでした。

キャップ・内部のグラつき

書き味:2/5点

筆記時にキャップや内部が横にグラつく感じては特にありません。

一方で、フレフレ機構が搭載されているため縦には大変よく揺れます。よって、書き味的にはあんまり良い評価はできません。ただ、先ほども述べましたがそもそも書き味に特化されたペンではなく、利便性と軽快さに焦点が置かれていますので気にする項目ではないでしょう。

素材・剛性感

書き味:1/5点

先端のみやや重めの金属でしたが、ほとんどが樹脂製な上、グリップに感じては柔らかいシリコンですので、やはり書き味には優れません。

ノック感・音

柔らかめのノック感で、特段気になるポイントはありません。キャップ上部に縦線の穴が2つあるため何度もノックすると少し痛むかも知れませんが、振ることで芯を出すことが想定されているペンですので、ここも別に気にならないと思います。

耐久性

脆さのようなものは一切感じません。樹脂製ですので長い年月使用していると劣化で割れやすくはなるかも知れません。

利便性

キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンはついていませんでした。

芯径は0.3mm・0.5mm・0.9mmのそれぞれに対応したものがあります。

デザイン

ドクターグリップには組み換え機能があったりクリップがないものがあったり個性豊かですが、その中では比較的シンプルなデザインをしています。特別高級感があったりチープすぎたりもせず、値段相応の見た目と言えるでしょう。

書きやすさ総評

評価:4/5点

間違いなく書きやすい部類ではありますが、重量の集中する部分がやや高いために最高評価には届かない結果となりました。

ここがもっと考慮されていれば、全てのペンで一番書きやすかったかもと考えると勿体無いと言わざるを得ないでしょう。

書き味総評

評価:1/5点

設計思想からして書き味度外視のペンです。先端がしっかり固定されていますので最低限のコツコツ感はありますが、書き味を期待して使うペンではないでしょう。

総括

ドクターグリップGスペックは、最適な重量バランスを目指し作成されていますが、最適クラスには一歩届かずといった出来となっています。

もちろん完全な最適ではないだけで、世の中のペンの中では間違いなく上位クラスの書きやすさではあります。

今後、さらに重心位置・重量バランスの優れたドクターグリップにリニューアル、あるいは新登場することに期待です。

コメント