概要
種類 | シャープペンシル |
機構 | ノック式 |
用途 | 一般筆記 |
軸材 | 木 |
他素材 | 真鍮 |
消しゴム | 有 |
芯径 | 0.5mm |
ラインナップ | 公式オンラインストア参照 |
価格 | 7,000円〜(税抜) |
発売 | 野原工芸 |
野原工芸より発売されている木軸のシャープペンシルです。
一言に木軸と言ってもその種類は多種多様、一つ一つ性質が違い、特に握りやすさに違いが顕著に見られますが、材質ごとに特性が異なってくるペンとなっています。
価格は7,000円〜60,000円(税抜)と、こちらも樹種によって全く異なります(訳アリなら7,000円未満もある)。いずれにせよ、そこらで買えるペンと比較して非常に高価なペンとなっております。
使用感
長さ | 138mm | グリップ径 | 10.5mm |
クリップまでの長さ | 91mm | 最大径 | 11mm |
重量 | 30g〜32g | 先端の長さ | 2.5mm |
重心位置 | 70mm | 回転のさせやすさ | × |
長さ・重量・重心のバランス

低重心だとか、取り回しが良いだとか、そう言った点に焦点が当てられたペンではありません。それに加えて重量も30g以上と通常のペンと比較すると大変重く、あらゆる場面で使えるペンとは言えないでしょう。
一方、このレベルの重量感になってくると書き味に大きく貢献し、他項目の評価にもよりますが、満足度の高い剛性感を感じるために必要な要素が備わったペンであると言えます。
握りやすさ・触り心地
ここは樹種によって全然異なってくるポイントです。

例えば、私は上記3つの樹種のペンを持っているのですが(上から2つはボールペン・スタンダード)、それぞれ触り心地が違っています。例えば、侘寂花梨瘤と槐はツルツルとしたような(イメージとしては経年変化後のS20に近い)感じですが、黒柿はサラサラ(経年変化前のS20に近い)触り心地になっています。
その上で経年変化やオイルの使用等で、また感触が変わってきますから、具体的に評価するのがかなり難しいです。(ちなみに本店で触ったのですが、欅は粘り気がある独特な触り心地でした。)
しかし、基本的には「木」の触り心地の範囲内ではありますから、前述のイメージの通りパイロットの「S20」の経年変化前〜変化後の触り心地と大体同じくらいです。
基本は汗に強く、樹脂にもよるが握りにくいことはない、程度に考えておきましょう。
クリップまでの長さ・形状
木の部分だけ握ろうとすると、たまにクリップに当たります。
当たって痛くはありませんが、先の細くなっている部分が当たるため、結構違和感があります。
真鍮部分と木軸の間を握るくらいだとあまり当たらないため、特にこだわりがなければその辺りを握ると良さそうです。
ペン先の視界・ガタつき
固定式、収納式共に3mmのパイプが搭載されているため、視界は開けています。
ガタつきに関してはダブルノック式ではほぼ無く、固定式に関しては全くありません。
ダブルノック式はペンの噛み合わせによってたまに僅かにガタつくかな程度で、ほとんど揺れません。固定されていない関係で、どうしても「コツコツ感」は固定先の方が上回りますが、普段使いではこちらでも十分でしょう。
キャップ・内部のグラつき
内部で固定されているわけではありませんが、特に感じませんでした。
ノック感・音
カチッとしたノック感の中でも、割としっとりしている方です。音も異音などはありませんでした。
耐久性
30g以上と、重たいペンですので落とすとガイドパイプが折れる可能性があります。落としそうな環境下ではダブルノック式を使用して、基本は収納しておいた方がいいかもしれません。
また、軸全体に「木」が使われていますので、雑に扱っているとひび割れてしまう可能性があります。パイロットの「S20」などと違い、特にイジることなく自然の素材そのものを使用しているので、大切に扱っていきましょう。
利便性
キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンは付属していませんでした。
芯径は0.5mmのみの対応です。
素材・剛性感

ここは野原工芸のペンが人気な理由の一つで、先端と後ろは黒く塗装された真鍮、内部は見ての通り金属パーツがふんだんに使われていて、その上でしっかり固定されているため高い剛性感が実感できます。
ここまで金属でしっかりと構成されたペンは、文房具系の企業のペンを含めてもそう多くはありませんので、非常にレベルの高い書き味となっております。
デザイン
シンプルに「木」を楽しむためのデザインをしていて、個人的にはこういう形は好きですが、刺さらない人には刺さらない、好みが分かれそうなデザインではあるでしょうか。
どちらかというと「芸術品」として捉えた方が良いのかもしれません。その中でもやはり実用性のあるペンではありますが。
書きやすさ総評
評価:C
書き味が良いペンはどうしても書きやすさからは離れてしまいがちで、このペンも例外ではありません。
慣れれば使えないこともないですが、高価なペンかつ重たいことに変わりはないので、ノートにびっしりと書くような場合では、別のペンの使用が推奨されるでしょう。そこまで筆記量が求められない場合や、趣味として利用できる範囲で使っていきましょう。
書き味総評
評価:SS
重さ・固定度・素材の書き味に重要な全ての要素で高評価です。つまり、最上級クラスで書き味が良いペンであると言え、書き味を追い求める方にはオススメのペンとなっております。
ただ、軸はあくまで木、剛性感を直で感じることのできる金属ではありませんので、木軸に興味が全く無いのであれば、あまり魅力に感じないかも知れません。
それでも、書き味が良いペン全体で見てもかなり質が良いですので、機会があればお試しいただきたい代物となっております。
総括
野原工芸のシャープペンシルは、「木」が使われていて芸術性が高い上、最上級クラスの書き味が体感できるペンとなっております。
非常に人気かつ高価で入手が大変難しいですが、木が好きな方や興味のある方、もしくは書き味を求める方にはぜひ使っていただきたい、そんなシャープペンシルです。
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