簡易評価
書きやすさ総評:4/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。
書き味総評:2/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。
概要
種類 | シャープペンシル |
機構 | ノック式 |
グリップ素材 | 樹脂 |
他素材 | 金属(真鍮?) |
用途 | 製図用 |
芯径 | 0.3mm・0.4mm・0.5mm 0.7mm・0.9mm |
消しゴム | HERFS-10 |
ラインナップ | 透明ブラック・透明ブルー・etc |
価格 | 400円(税抜) |
発売元 | 株式会社パイロットコーポレーション |
S3は、パイロットより発売されている製図用シャープペンです。
かつてはS5やS20も含む「Sシリーズ」という製図用シャープペングループの一種として浸透していましたが、製図用ではないS30の発売や、そのS30とグリップ違いのS5が廃番となったことに加え、価格の上昇に伴って名前と値段の関連性が無くなったこともあってか、このグループとして呼ばれることは少なくなりつつあります。
現在の価格は400円(税抜)となっており、かつてはS20が2,000円であるように、S「3」の数字から想起される300円となっていましたが、値上がりにより関連性が失われました。それでも尚、お手頃な価格となっております。
使用感
全長 | 145mm | グリップ径 | 9mm |
クリップ距離 | 98mm | 先端長 | 4mm |
重量 | 10.9g | 慣性モーメント | ○ |
重心 | 69mm | 特記事項 | – |
長さ・重量・重心のバランス
書きやすさ:4/5点 書き味:1/5点

書きやすいシャープペンとして持ち上げられているような気がしますが、実際に書きやすい方ではあります。
ただ、これが一番かと言われるとまた違う気もして、なぜかというと書きやすさに直結する要素が「軽い」の一点しかないからです。
確かに軽さは軽快に書くために重要な点ではありますが、重心は69mmと高めで、また慣性モーメントを考えても、特別重量バランスが工夫がなされているわけではなく、せっかく軽いペンなのに全長が長めですのでこの観点からは最高評価にはなりません。
そして、軽さと重心の高さにより自重による力が働きづらく、しっかりと筆圧を加える必要があるため思いの他力が入ってしまいます。
もちろん、これらを考慮してなお軽さは軽快さにおいて重要になってくる項目ですので、間違いなく書きやすいですが、よく書きやすいペンとして耳にするS20やカヴェコスペシャルの上位互換かと言われると個人的には懐疑的に思います。
握りやすさ・質感
書きやすさ:4/5点 書き味:2/5点
一般的な樹脂ですので特別握りやすいわけありませんが、自然に握ることができます。
この意見は一度も見かけたことがないため、完全に個人的なものかも知れませんが、グリップ上部のボコっとしている玉部分が当たるとめちゃくちゃ気になります。デザイン的にも無駄な部分だと思いますので削って販売して欲しいと思ってしまうのですが何か理由があるのでしょうか?
話は変わって、書き味的には柔らかいグリップでないだけマシですが、やはり樹脂製だと手にコツコツと金属の響く感じは伝わってきません。この楽しさを求めて使用するペンではなく書きやすさ特化であることは覚えておきましょう。
クリップまでの長さ・形状
書きやすさ:5/5点
筆記時に手に当たることはまずないでしょう。
芯・リフィルの筆記感
書きやすさ:5/5点
私の所持しているものは0.4mm対応のものですが、初期芯でも問題なくスラスラ筆記が可能でした。
ペン先の視界・ガタつき
書きやすさ:5/5点 書き味:5/5点
4mmのガイドパイプがありますので視界は良好、ガタつきなんかも全くなくしっかりと固定されています。
キャップ・内部のグラつき
書き味:5/5点
キャップは手で直接動かすことができますが、筆記時にキャップも内部も動いている感覚はありませんでした。
素材・剛性感
書き味:1/5点

見ての通り先端のみはおそらくそれなりの密度の金属ですが、重量自体が軽いのと、その他のほとんどが樹脂製ですので剛性感を感じるための条件があまり整っていません。作り自体はしっかりしていますが、やはり剛性感・コツコツ感を期待するペンではないでしょう。
ノック感・音
割と軽めのノック感・音です。ノック部分の面積がそれなりに広いため手を痛める心配もありません。
耐久性
何もしてないのに突然壊れるということは無いと思いますが、樹脂製ですので金属製のペンよりかは壊れやすいと思われます。安価なペンですのでそこまで厳重に管理する必要もありませんが、最低限は丁寧に扱いましょう。
利便性
キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンも付属していました。
芯径は0.3mm・0.4mm・0.5mm・0.7mm・0.9mmとかなり幅広い種類に対応したものがあります。自分に合ったものを使っていきましょう。
デザイン
形自体は400円のペンとは思えないカッコよさがあります。2,000円のS20とほぼ共通デザインですので当然と言えばそうですが。
一方で、色と素材はクリア系の樹脂ということで一気にチープさを加速させています。最近は現代らしい鮮やかすぎない色合いでチープに感じないものも発売されていますが、個人的にはマットブラック的な色合いやS20風の色合いのものも発売されたら良いなと思っています。
書きやすさ総評
評価:4/5点
間違いなく書きやすいペンではあります。
ただし、その書きやすさを担うポイントは軽さの一点のみで、重心・重量等のバランスに優れるS20やカヴェコスペシャルの上位互換かと言われるとそうではなく、また違った位置付けだと思います。
書き味総評
評価:2/5点
単純に軽いことに加えて素材のほとんどが樹脂製であるので、書き味に優れるとは決して言えません。
ペン先のガタつきはないため、確かにコツコツするように感じるかも知れませんが、ここで定義する書き味には、重厚感や金属の振動等も含んで評価していますのでこの点数となっています。
総括
S3は安価で書きやすいシャープペンシルです。ただし、全シャープペンの中で最も書きやすいかと言われるとそうではなく、やや実力不足な部分もあり、知名度ゆえか過剰に持ち上げれているような気がします。
あくまで「過剰」というだけで、何度も述べていますが間違いなく書きやすいペンですので、デザインが気に入っていたり、購入しやすさに魅力を感じるならば積極的に購入を推奨できるペンです。
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