S10(エステン):評価レビュー

文具評価

簡易評価

書きやすさ総評:3/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

書き味総評:4/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

概要

種類シャープペンシル
機構ノック式
素材グリップ:黄銅(梨地クロム仕上)
軸:樹脂
チャック:金属
用途製図用
芯径0.3・0.4・0.5・0.7・0.9mm
消しゴムHERFS-10
ラインナップ透明ブラック・透明ブルー・etc
価格(税抜)1,300円
発売元株式会社パイロットコーポレーション

S10は、パイロットより発売されている製図用シャープペンシルです。

今やSシリーズとすら呼ばれないほど数が減らされたシリーズの中で生き残っている一本で、その中でも金属製のローレットグリップが特徴的なペンです。

価格は1,300円(税抜)と、シャープペンとしてはやや高価な部類になっています。

使用感

全長145mmグリップ径9.5mm
クリップ距離100mm先端長4mm
重量18.7g慣性モーメント
重心59mm特記事項

長さ・重量・重心のバランス

書きやすさ:3/5点 書き味:4/5点

数値配分が整っており、そこそこ重量のあるペンとしては書きやすい部類でしょう。

図的には慣性モーメントの観点からでも悪くなさそうに見えてしまいますが、重い部分が下部までしっかり重たいため、そこまで優れるわけではありません。

その上で重量も18.7gとそこそこありますので、結果的にこのような点数となってしまいました。

ただ、同じ3点でもヘキサゴナル級で、ロットリング600より書きやすく、4点のクルトガウッドともそれほど差がないと感じています。そろそろ数も増えてきたことですし、点数調整を行うかも知れません。

書き味は悪くないと思います。18.7gありますので、それなりにコツコツとした感じが手に伝わってくるでしょう。

握りやすさ・質感

書きやすさ:5/5点 書き味:5/5点

特別工夫されたローレット加工ではないと思いますが、手への負担を感じませんでした。

このレベルならば、滑りにくさと書きやすさ、金属感を高水準で得ることができるでしょう。

クリップまでの長さ・形状

書きやすさ:5/5点

かなり高い位置にクリップがありますので、手に当たることはほとんどありません。したがって、ストレスなく筆記が可能です。

芯・リフィルの筆記感

書きやすさ:5/5点

初期芯でも問題なく筆記可能でした。気に入らない場合は自分好みの芯に変えてから使用しましょう。

ペン先の視界・ガタつき

書きやすさ:5/5点 書き味:5/5点

4mmの固定されたガイドパイプが付いていますので、視界は良く、ガタつきは一切ありませんでした。

キャップ・内部のグラつき

書き味:5/5点

キャップは手で揺らせば動きますが、筆記時に振動などは感じられませんでした。

素材・剛性感

書き味:4/5点

外見的にはコツコツ感を感じるためのデザインのように思えるほど、多量の金属が使われていますが、その下には樹脂が使われています。ネジ部分なんかも樹脂製ですので、想像しているよりかはしっかりとした素材ではないかも知れません。

決して悪くはないですが、あと一歩といったところでしょう。

ノック感・音

軽くもなく重くもない、平均的なノック感ではないでしょうか。音の不快な響きなどもありませんでした。

耐久性

後軸部分は剥き出しの樹脂ですので、ぞんざいな扱いをすれば割れてしまうかも知れません。

また、先端もガイドパイプが折れやすいように思えます。

使用する場合は、特にガイドパイプを折らないよう、すなわちあまり落とさないように注意しましょう。

利便性

キャップを外すと消しゴムがあり、クリーナーピンも付属していました。

芯径は表の通りで、0.3〜0.9mmまで幅広く対応したものがあります。場面によって使い分けができますので、利便性は高いと言えそうです。

デザイン

似た形状をしたペンに「S3」や「S20」がありますが、こちらはローレットグリップですので、一際製図用感が強いデザインをしています。

どうやらパイロット公式によると、製図用として作られたペンの中でも最後の方に構想されたようですが、デザインの洗練度からもそれを感じさせるものがあるでしょう。

書きやすさ総評

評価:3/5点

数値配分は悪くはありませんでしたが、重量配分に少々課題がありました。S20とシルエットは瓜二つですが、こちらは先端付近も重いですので、そこがこの差に大きく繋がっている要素だと思います。

とはいえ、後ろが軽いことや握りやすさなどは優れるポイントですので、決して悪いわけではなく、限りなく4点に近い3点といったところだと思います。

書き味総評

評価:4/5点

重量感や剛性感、固定感から素材感の全てが素直に反映されている書き味です。

やはり重量不足でこれよりも重いペンには敵わない部分もありますが、同重量帯で比較するとかなり書き味の感じられる方だと思います。

総括

S10は、悪くない書きやすさと書き味で、製図用途ではその重量バランスが安定に繋がり、非常に優秀なペンと言えます。

通常の筆記では下部の重さがやや気になりますが、それでも不快感少なめで使用していくことができるペンでしょう。

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