KURUTOGA DIVE(クルトガダイブ):評価レビュー

文具評価

簡易評価

書きやすさ総評:5/5点(キャップ有りで3/5点)

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

書き味総評:2/5点(キャップ有りで3/5点)

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

本レビューでは、キャップの有無で性能が大きく異なるため、必要に応じて分けて評価しています。

概要

種類シャープペンシル
機構マグネット式キャップ・クルトガエンジン・自動芯繰出機構・芯繰り出し量調整
素材グリップ:ラバー
軸全体:ABS樹脂(塗装)
用途一般筆記用
芯径0.5mm
消しゴムS
ラインナップアビスブルー・デンスグリーン
トワイライトオレンジ・オーロラパープル
価格(税抜)5,000円
発売元三菱鉛筆

クルトガダイブは、三菱鉛筆より発売されているクルトガシリーズ最上級モデルのシャープペンです。

下記により詳しく話していますが、マグネット式キャップ・クルトガエンジン・自動芯繰出機構・芯繰り出し量調整と多機能ペンに勝るとも劣らない機能てんこ盛りシャープペンとなっています。

価格は5,000円(税抜)とシャープペンの中ではかなり高価な部類でしょう。

機構一覧

マグネット式キャップ

キャップ式のシャープペンというだけで割と珍しいですが、磁石を用いるという更に珍しい方法で固定するタイプです。

この利点として、しっかりくっつくため取れにくいこと、凹凸による固定と違い劣化で緩くならないことが主に挙げられます。

磁力も弱くないが強すぎない丁度良い塩梅で、使い勝手も良いキャップだと思います。

クルトガエンジン

これはクルトガ共通の機構です。筆記する度(ペンと地面の接地時)にペン先が回転することにより、芯先を尖らせて片減りを抑制します。

ペン先がグラグラフワフワする独特な筆記感にはなってしまいますが、ペンを回す頻度が減りますので、そういったシャープペン特有のストレスから解放させてくれるような機能と言えるでしょう。

自動芯繰出機構

似た機能にぺんてるの「オレンズネロ」に搭載されている「自動芯出し機構」があり、ノック不要で筆記可能という点は同じですが、その仕組みや構造自体は大きく異なるシステムです。

あちらはガイドパイプの接地情報を利用しているのに対して、こちらはそれに加えて前述の「クルトガエンジン」を利用した機構となっています。具体的には、回転する度にパイプが少しづつ縮み、数百回転すると解放されて元の長さに戻るようになっています。そこに、オレンズネロのような、パイプが戻る時に芯が引っ張られて出るような芯繰り出しを技術を利用して自動芯出しを実現しています。

これにより、引きずることなく自動芯出しを実現しているため、パイプの摩擦なく筆記が可能となっています。

こちらのもう一つの特徴は、キャップを取り外した場合にも自動で芯が少しでるようになっている点です。これにより、最初のノックすら不要になっていて芯入れ替え以外では基本的にノックが必要ない機構になっています。

芯繰り出し量調整

こちらは上記の繰り出し時に、出る芯の長さを5段階に分けて調整できる機能です。

筆圧が人により異なりますので、出る量を固定してしまうと人によってはノックが必要になってしまいます。それを解決するための機能がこれで、筆圧の強い人から弱い人まで、それぞれに合わせた繰り出し量に調整可能になっています。

先端パイプの長さもこれによって若干異なってきますが、0.2mm程度の差ですので気にすることもないかと思います。

使用感

キャップ有:
全長150mmグリップ径10.5mm
クリップ距離95mm先端長3.5mm
重量19.2g慣性モーメント×
重心79mm特記事項※1 ※2

※1:筆記形態での長さが150mm。収納形態(サムネ画像)では147.0mm。

※2:全長・先端長は芯繰り出し量により±0.2mm程度変動。

キャップ無:
全長142mmグリップ径10.5mm
クリップ距離先端長3.5mm
重量14g慣性モーメント
重心64mm特記事項※3

※3:重量は推定値。

長さ・重量・重心のバランス(キャップ有)

書きやすさ:3/5点 書き味:4/5点

キャップがある場合、いかにも高級ペンらしい高重心タイプとなり、書き心地もそれに準ずるものになるでしょう。

重量感もそれなりにあるため、書き味的には良いですが書きやすさを考えるとお世辞にも書きやすい方とは言えません。

長さ・重量・重心のバランス(キャップ無)

書きやすさ:5/5点 書き味:2/5点

キャップを外すだけで別物レベルに書きやすくなります。

回転中心付近に重量の寄った配分になり、軽くもなりますのでかなり書きやすい部類になると思います。

書き味的にはこっちの方が劣りますが、後述の通り書き味を求めるようなペンではありませんので、よほどデザインを優先しない限りはキャップを外しての使用をオススメします。

握りやすさ・質感

書きやすさ:5/5点 書き味:2/5点

グリップ力があり、凹凸による滑り止め効果も見込めるため質の高いグリップと言えます。

金属製ではないため剛性感的な満足感はありませんが、実用性的には十分なレベルです。

クリップまでの長さ・形状

書きやすさ:5/5点

キャップが無ければ当たりませんが、キャップを付けていても当たるほど長いわけではありません。それほど気にする項目ではないでしょう。

芯・リフィルの筆記感

書きやすさ:5/5点

芯自体は初期芯が苦手でも変えればどうとでもなりますが、回転機構によって摩擦感は若干変わります。

ガタつきに加えて独特な摩擦感となりますので、人によっては違和感を覚えるかも知れません。

ペン先の視界・ガタつき

書きやすさ:2/5点 書き味:0/5点

ガイドパイプとはちょっと違いますが、それに似た形状をしていますので、中々に見やすい部類だと思います。

一方、ガタつきに関しては、芯の回転と自動芯繰り出しによる上下に動く感覚が明確にあります。

ペンの機構上どうしても上記の違和感はありますので、一般的なクルトガが苦手な方にとっては、それと同レベルで動くことを考慮して、購入の是非を検討していただきたく思います。

キャップ・内部のグラつき

書き味:5/5点

内部が動くような構造ではないですし、キャップもしっかりと磁石で固定されますので、ここの問題はないと思います。

キャップは頑張ってペン左右に振れば揺れますが、筆記時に揺れる感覚はありませんでした。

素材・剛性感

書き味:1/5点

遠目で見れば金属感あるように思えますが、素材のほとんどが軽いものでできていて、金属も少ないですからそれほど剛性感を得られる質感ではありません。

高級ペンの中では珍しいですが、そういった点には優れていませんのでご注意ください。

ノック感・音

そもそもノックすること自体稀だと思われますが、想定されていないためか、機構の問題か、ノックしたか分かりにくい程度の軽いノック感です。

明確にノックする機会は芯を変えたタイミングくらいですから、それほど気にするものでもないでしょう。

耐久性

かなり精密な作りですので、落とすことなどはないよう気をつけましょう。

それに加えて高価ですし、購入するのさえいまだに難しいですから、なおのこと大事に扱っていきましょう。

利便性

キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンは付いていませんでした。

芯径は0.5mmオンリーです。今後増えていくことに期待しましょう。

その他便利なポイントとしては、キャップが磁石で固定できる点でしょうか。外れる心配がなく、劣化も少ないため長く使用ができそうです。

デザイン

機構的な面からの印象もありますが、デザインだけでも最先端の技術らしさが感じられる、近未来的な形をしています。

三菱鉛筆の樹脂製ペンはパーティングライン(溶接された線のようなもの)が目立つものも多いですが、このペンは高価なこともあってか全く見当たりません。

また、ほとんど樹脂製でありながらも遠目からは金属製に思えるような質感をしていますので、実用性とデザイン性のどちらも損なうことなく発揮できているペンと言えるのではないでしょうか。

書きやすさ総評(キャップ有)

評価:3/5点

キャップがある場合、ザ・高級ペンと言えるほど高重心で正直軽快さに優れるペンとはいえません。

キャップをつけて使用する場合、キャップの置き場所に困らないというメリットはありますが、芯補充時は結局外すことになるし、芯の長さを微妙に調整したい時なども一々外すことになるため、ちょっとした面倒臭さもあります。なによりも書きやすさ、実用性を求めるならばキャップを付けての使用はオススメできません。

書きやすさ総評(キャップ無)

評価:5/5点

キャップを取るだけでかなり書きやすくなります。

特に重量とその配分による軽快さが優れ、高級ペンらしからぬ書きやすさを体感できるでしょう。

一方で、同じ5点格のペンと比較すると、先端のガタつきが非常に気になりますので、人によってかなり好みが分かれるものと思われます。個人的に、書きやすさを大きく阻害するほどは揺れないと感じたため5点としましたが、購入を検討している場合は安価なクルトガで揺れの程度を確かめ、自身の好みに合っているかを調べた上で判断するとことを推奨します。

また、キャップの置き場所に少し困るというデメリットは存在しますが、キャップ有りでのデメリットは完全に克服できますので、こちらでの使用をオススメします。

書き味総評

評価:3/5点(キャップ無しで2/5点)

こちらは点数こそ変えましたが、キャップが有ろうと無かろうと述べる問題点は変わらず、素材と先端のガタつきによって良い書き味というものがほとんど感じられません。

キャップをつけた分、重量により書き味はやや良くなりますが、このペンである必要性はないでしょう。

高いペンではありますが、実用面を追求したペンですのでこちらの項目を気にして使用するものではないと思います。

総括

クルトガダイブは、ノック不要というロマンかつ実用性がありつつ、従来のクルトガらしい尖り続ける芯、そして、単純な軽快さという点においても実用性に優れるシャープペンです。

キャップの有無で使用感が変わりますが、高級ペンらしさと書きやすいペンとしての機能のどちらも体感できると考えれば、なおのこと汎用性に優れると言えるのかも知れません。

発売からかなり年月の経った現在でも在庫が無いことの多いペンですが、在庫が安定したとしてもその人気は低迷しないだろうと言えるほど実用性があるペンですので、盗難等の心配が無く、クルトガ自体が好きならば、普段使い用のペンとしても不満なく使用できると思います。

マグネットキャップ、クルトガ機構、自動芯繰り出し機構、芯繰り出し量調整機能は、それぞれ単独で見ても独自性が高く、これが文房具メーカーだからこそ作れたペンであることを踏まえると、三菱鉛筆の歴史や創造性、技術力を象徴する最高峰の一本と言えるのではないかと思います。

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