簡易評価
書きやすさ総評:2/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。
書き味総評:6/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。
概要
種類 | シャープペンシル |
機構 | ノック式 |
軸材 | アルミニウム(ネオラバサン塗装) |
他素材 | 内部錘、天冠、ノックキャップ:真鍮 クリップ:鉄 芯タンク:樹脂 |
用途 | 一般筆記用 |
芯径 | 0.5mm |
消しゴム | 有 クリーナーピン:無 |
ラインナップ | ブラック |
価格 | 6,000円(税抜) |
発売 | SEASAR |
文房具系YouTuberのしーさーさんが立ち上げた自社ブランドより発売されているシャープペンです。
「実用性MAX」を謳ったシャープペンで、超重量級のペンでありつつも、その重さを感じさせない工夫がされていて、実用的に使えるよう設計されています。
価格は6,600円(税抜)と高価な部類ですが、この手の高級文房具の中では低価格寄りとなっています。
実用性MAXの工夫と批評
こちらについては、文量が多くなりすぎたため、別記事にしています。使用感の項目に関連する内容が多くあるため、下記のリンクから読んでいただいた方がより分かりやすくなると思います。
GRAVIUMのレビューと批評のリンク:https://bungukaiseki.com/実用性maxシャープペン「gravium」のレビューと批評/
使用感
長さ | 140mm | グリップ径 | 11.3mm |
クリップまでの長さ | 96mm(着脱可能) | 最大径 | 同上 |
重量 | クリップ有:37g クリップ無:36g | 先端の長さ | 3mm |
重心位置 | クリップ有:69mm クリップ無:66mm | 回転のさせやすさ | × |
長さ・重量・重心のバランス
書きやすさ:2/5点 書き味:6/5点

あくまで、「37g」という重量級ペンの中では取り回しや軽快さに優れるというだけで、この錘がなくても24gと重たい部類であることから、慣性モーメントの値自体はそこら辺のペンよりも圧倒的に大きいことが明白で、手放しに書きやすいとは言えません。
重心的にも69mmとそこそこ高く、ノック部分の素材も重たいものであることから、その辺のバランスも悪く、大々的に「軽快に書ける」と言われていたほどのものは感じません。
この辺は別記事の方でもう少し詳しく記述していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
さて、一方で書き味の観点からは37gという重さは素晴らしい数値といえます。このクラスは重たいことで有名な「野原工芸」のシャープペンの約30gを凌ぎ、コツコツ感を感じるには十分過ぎるほどの重さでしょう。
握りやすさ・質感
書きやすさ:5/5点 書き味:5/5点
素材自体はアルミですが、グリップ、というか軸全体が「ネオラバサン」と呼ばれる塗装が施されていて、柔らかく、かつ滑りにくい触感となっています。
書きやすさ的にはグリップ性能に優れ、書き味的には金属感もしっかり感じられるためこの項目ではどちらも満点と言えるでしょう。
クリップまでの長さ・形状
書きやすさ:5/5点
位置的に手に当たることはほとんどなく、当たったとしても形状的に痛くなることはないため、ストレスなく書くことができます。
その上で、そもそも取り外すことが可能ですので文句のつけようがありません。
芯・リフィルの筆記感
書きやすさ:5/5点
初期芯であっても問題なく筆記できます。ペンの自重により書く時の抵抗も感じづらくなっているため滑らかに筆記することができます。
ペン先の視界・ガタつき
書きやすさ:5/5点 書き味:5/5点
先端には3mmのガイドパイプが搭載されているため視界は開けています。
加えて、ガタつきも全くありませんので、この項目でも文句の付け所はないでしょう。
キャップ・内部のグラつき
書き味:5/5点
個体差はあるかも知れませんが、私のものは全くグラつきを感じませんでした。構造的にはテープ等の補強が可能なため、もしグラつきがある場合は補強すると良いでしょう。
素材・剛性感
書き味:5/5点

見ての通り金属だらけ、樹脂パーツは芯タンクくらいですので高い剛性感が感じられると思います。
ノック感・音
ノック部分の面積が広めになっていますので、指を痛めずにノックすることが可能です。音もシャキシャキとしていて気持ちが良いものとなっています。
耐久性
外側が完全に金属で構成されているため、割れるなどの心配は無用ですが、雑に扱うと傷がついたり、へこんだりはするかも知れません。
また、先端から落としてしまった場合、重たいペンですのでガイドパイプが折れてしまう可能性が結構高いです。万が一折れてしまった場合は交換用のものも売られていますのでそちらを購入し、付け替えて使いましょう。
利便性
キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンは付属していません。
クリップは可動せず、便利な機能等もないため特別に便利なペンではありません。
デザイン
よく聞く意見として、「カヴェコスペシャル」や「オレンズネロ」に似ているというのがありますが、私も初見は「シンプルなカヴェコスペシャル」という印象でした。
ただ実物を見てみると、結構軸が太いため、思っていたよりも似ていないなと思いました。
正直、届くまでは、同じくしーさーさんより発売されている「Aero」と比べると面白みのないデザインだなと思っていましたが、使っていると案外高級感が感じられる洗練されたデザインに思えてきました。
確かにカヴェコに似てるっちゃ似ていますが、そもそも書きやすいためのデザインというのはある程度決まっているわけで、そこの差別化を図るというのは難しい話だと思われます。○角形のペンとなると大体似たようなデザインになりますしね。そんな中で、角の数、太さ、塗装で他の○角形系のペンと異なったものにできているというのは、かなり差別化に成功している部類と私は考えています。
書きやすさ総評
評価:2/5点
確かに「慣性モーメント」に配慮はされていますが、やはり重いことに変わりはなく、そもそも配慮しきれていない部分も多くあるため「軽快に書きやすい」とは言えません。
ですので長期筆記や高速筆記も厳しく、普段使いはあまりオススメできません。
ただ、超重量級ペンの中では最高クラスに書きやすくなっています。よって、書き味を楽しみつつ書きやすさも欲しいと思った場合に使用するのがベストな使い方だと思います。
よく書きやすいと言われる軽量級のペンには及びませんので、購入や使用する時にはそこら辺に注意しましょう。
書き味総評
評価:6/5点
重量に加えて、グラつきガタつき一切なく、金属の質感も程よく感じられるため「書き味」に関しては一般的な最高クラスを超えています。
「コツコツ感」が好きな方には、文句なしでオススメできる最高のペンとなっています。
同じく重たいペンに「野原工芸」や「Aero」がありますが、前者は金属感というより木の風合いという面が強く、後者は個体差もありますが内部のグラつきが気になる場合もありますので、そういったノイズなく純粋に剛性の感じを得られるのはこのペンならではのポイントです。
これらのことから、「コツコツ感」や「剛性感」が好きな方は、購入を前向きに検討して良いと思います。
総括
GRAVIUMは、“重たく書き味に優れるペンの中では”、かなり書きやすいシャープペンシルです。
ただし、決して軽量な「ステッドラー925-15」や書きやすいことで知られる「S20」などと肩を並べる書きやすさは持ち合わせていないため、そのレベルの書きやすさを求めて購入すると残念な気持ちになると思います。
考え方を180°ガラッと変えて、「コツコツ感」を楽しむ趣味用のペンが+αで書きやすさもそこそこある、程度に捉えると楽しく使っていけるでしょう。
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