デルガード タイプLxのレビュー

文具評価

概要

デルガードLxは、ゼブラより発売されている、デルガードのハイエンドモデルです。

特徴として、デルガードシステムが搭載されていて、芯が折れにくい工夫がなされています。

価格は1,000円(税抜)とそこそこ高めな部類です。

デルガードシステムについて

デルガードとは、出る+ガードの造語です。その名の通り、斜めに持って書く時には、芯を守るために先端が出てホールドし、折れにくくしてくれます。

また、紙と垂直に(要するに立てて)書くときは、芯側が沈んで守られに行きます。

これにより、3ノック分(1.5mm程度)までならほとんど折れることなく使用できるというわけです。

逆に、1.5mm以上となるとガード部分が足りなくなり、守られていない部分は普通に折れます。よく「デルガード使っても折れた」という意見を耳にしますが、おそらく原因は、デルガードの想定以上に芯を出しているからでしょう。公式サイトにも3ノックまでと記述はあります。まぁもっと分かりやすく明記した方が良いと思いますがね。

ついでに内部での芯詰まりもほとんど起こらないようです。3つの特性を持ち合わせた、かなり優れた機構となっています。

使用感

長さ・重量・重心のバランス

重さはありますが、それ以外はパイロットの「S20」によく似た配分となっております。

ただ、低重心ではありますが、グリップの金属で無理矢理調整している感が強く、前軸に重さがかなり偏っているため、回しやすさ的には優れているとは言えません。追加でそこそこ重いですから、軽快には書くことができないでしょう。

しかし、しっかりと低重心なため、持ち方にもよりますが、重さの割には軽く書ける方ではあります。

握りやすさ・触り心地

グリップの金属ですが、少しだけワックスを塗ったような加工がされ、持つ部分に簡単な凹凸があるため、しっかりと握ることができます。

持つ時に邪魔になる部分はなく、太さも一般的なサイズですので、金属グリップ中ではかなり持ちやすい部類に入るでしょう。

クリップまでの長さ・形状

よっぽど斜めに持たない限り、ほとんど当たることはありません。

形状的にも大した尖りがないため、当たったとしても違和感は少ない方でしょう。

ペン先の視界・ガタつき

一応、先端から3mmは細くなっていて、視界は悪くありません。

ただ、デルガードの機構上、上下にかなり揺れます。

これにより、書き味への影響が非常に大きく、コツコツ感に関しては最低クラスとなってしまうでしょう。

キャップ・内部のグラつき

キャップがグラグラします。

テープを巻いてもノック感が悪くなるだけで改善できなかったため、この点においても書き味を求めるのは難しいでしょう。

ノック感・音

少し硬めのノック感です。ノーマルのデルガードをお持ちの方は分かると思いますが、デルガードは基本的にノックが硬めで、特にノーマルは面積が狭く中央に穴が空いているため、かなり痛みを感じます。

一方、こちらはノーマルと比較して面積が広く、穴も深いものではないためマシではありますが、他のペンと比較するとまずまずと言ったところです。

耐久性

金属部分が壊れることはないでしょうが、先の方が樹脂製なため、金属グリップからの圧力と劣化によって壊れることがあるようです。

利便性

キャップを外すと消しゴムがあります。クリーナーピンは付属していませんでした。

芯径は0.3mmと0.5mmに対応しています。

素材・剛性感

グリップには金属が使われています。後軸は樹脂ですが、質感が金属に似ていますので、通常なら高い剛性感が期待できると言えます。しかし、先端のデルガードシステム可視化部分が透明の樹脂でできているため、指への剛性感の伝わりが悪く、残念ながら素材だけを見た場合でも剛性感は感じづらくなっています。

デザイン

個人的には、かなり評価できるデザインだと思っています。メカニカルなかっこいいデザインです。

ただ、このペンオリジナルのデザインかと言われるとそうとは思えず、クルトガハイエンドモデルにそっくりなんですよね。パクリと言われても仕方ないくらい。

ただ、あちらは金属部分がツルツルだったり、少し細かったりするので、個人的にはこちらの方が好みではあります。

書きやすさ総評

評価:B

重心位置や握りやすさは良いのですが、やはり重たいのと、重量配分も最高クラスとは言えないため、あまり高評価ではありません。あと1〜2g軽いだけでも全然変わってくるような気もするのですが、、、。

書き味総評

評価:D

いわゆる「コツコツ感」の観点から考えた場合、かなり質が悪いです。

ですが、ある視点から考えた書き味はかなり質が良いと思います。その視点とは、「筆のような書き心地」かどうか、という点です。

このデルガードシステム、上下に浮き沈みするため、シャープペンなのに少しだけ筆なような書き心地になっています。パイロットの似たような製品「モーグルエアー」が廃盤になった今、この書き心地はデルガードの特権ですので、この書き味目当てに購入するのはアリだと思います。まあ、「Lx」である意味はあんまりないのですが、、、。

総括

デルガードLxは、数字的には書きやすいことでよく知られている「S20」に近いのですが、所々に残念な点があるせいで微妙に使いづらいペンとなっております。

ただ、前述の通り、シャープペンの中でも珍しい「筆に近い書き心地」を体感できる数少ないペンとなっていますので、デルガードシステムの機能美とともに堪能するのも良いかも知れません。

先端付近を金属パーツにして、もう少し軽めの金属に変更するだけでも、耐久性が良くなり使用感もS20に似てきそうですが、今後改良される日は来るのでしょうか?

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