概要
種類 | シャープペンシル |
機構 | ノック式 |
用途 | 製図用 |
軸材 | 木軸(樹脂含浸カバ材) |
他素材 | 軽い金属、真鍮 |
消しゴム | HERFS-10 |
芯径 | 0.3mm / 0.5mm |
ラインナップ | ダークブラウン、ディープレッド、ブラウン、ブラック、マホガニー |
価格 | 2,000円(税抜) |
発売 | 株式会社パイロットコーポレーション |
S20は、パイロットの展開するSシリーズに属し、その中でも「製図用」かつ「木軸」という珍しいタイプのシャープペンです。
軸は「樹脂含浸カバ材(コムプライト)」と呼ばれる素材で作られています。詳しい解説は省きますが、その名の通り樺の木に樹脂を浸透させたものです。加工の際に木をスライスするため、本当の木目は見れないのですが、このペンはあたかも削った木をそのまま使っているかのような見た目を再現していて、なおかつペン一つ一つの模様も違うので「自分だけの木軸ペン」という感覚をしっかりと味わうことができます。
製図用シャープペンとしてはパイロットの最上位モデルにあたり、価格は2,000円(税抜)と高めの設定になっております。
使用感
長さ | 146mm | グリップ径 | 9mm |
クリップまでの長さ | 99mm | 最大径 | 10.6mm |
重量 | 18g | 先端の長さ | 4mm |
重心位置 | 63mm | 回転のさせやすさ | ○ |
長さ・重量・重心のバランス

程よい長さと重さ、そしてなにより絶妙な重心位置からなる低重心設計により、安定感が抜群で非常にバランスの取れた仕上がりになっています。
それに加えてグリップ内部は真鍮、ペンの端は軽い素材で構成されているため取り回しに優れ、重量からは想像できないほどの軽快な書き心地をもたらしてくれます。
一方、手が小さい方にとっては、ノック時に手がややキャップに届きにくいといった場合があるため、一度試し書きして確かめておいた方が良いかもしれません。
握りやすさ・触り心地
グリップは先端に向かうにつれて曲線を描きながら細くなっていく形状で、太さも程よいため自然に握ることができます。
初期状態では表面が滑らかでやや滑りやすいですが、木軸特有の経年変化から使用を重ねるごとにグリップ力が向上します。さらに、木材は汗(水分)を吸収するため、夏場などはより滑りにくくなります。
ただ、グリップは適切な太さではありますがその中でも細めなので、手が大きい方からするとストレスに感じるかも知れません。
クリップまでの長さ・形状
クリップの位置は高めで、通常の持ち方では手に当たることはまずないでしょう。太すぎず、角ばってもいないため、手に当たったとしても違和感なく使えます。
挟みやすさに関しては、特別挟みやすいわけではないですが、開ける時に手が痛くなる等の問題はありませんでした。
ペン先の視界・ガタつき
先端にいくほど細くなっていく形状で、4mmのガイドパイプも搭載されているので非常に見やすいです。
ガタつきは全く感じません。さすが製図用といった精度の高さでしょう。
キャップ・内部のグラつき
キャップは手で動かすとわずかに揺れますが、書いているときは揺れず、内部振動もごくわずかなため筆記に影響を与えるレベルではないでしょう。
ノック感・音
特に強いクセはなく、押した時の痛みや音が響くなんてこともありませんでした。
耐久性
樹脂含浸カバ材であることや内部に真鍮が使われていることから基本的には頑丈ですが、落とすとガイドパイプが折れやすいらしく、消しゴムを強く押し込むと内部に引っ込んでしまうこともあるそうです。
ただ、前者は修理に出せたり、あるいは互換性のあるペン(S3とかS10とか)の口金と付け替えたりでそこそこ簡単に対処できますし、後者に関してはそもそもそんなことしないよう気を付ければ良いだけなので大切に扱えば問題なく使っていけるでしょう。
利便性
キャップを外すと消しゴムがあり、クリーナーピンも付属しています。硬度表示窓もありますので利便性は高めです。
持つ位置を調整することで太さを選べるのもポイントでしょうか。芯の繰り出し量も適切で、書きやすさを損なう問題はありませんでした。
芯は0.3mm / 0.5mm の2種類にそれぞれ対応したものがあります。
素材・剛性感

口金内部のチャック部分や軸の内側に真鍮が使われていて、しっかりと固定されているため作り込みに問題はありません。
また、真鍮の上に硬い素材の木が使われているので質の良い剛性感を感じ取ることができます。
デザイン
特別高級感があるわけではないですが、チープさもなく上品で落ち着いた印象です。
ただし、グリップ部と軸部の木目がズレている個体が多いので、ズレが気になる場合は、実物を見て選ぶことをオススメします。
書きやすさ総評
評価:S
低重心設計と適度な重量感により、指への負担が少なく、長時間の筆記でもスムーズに書くことができます。
唯一、経年変化前の滑りやすさが気になるところではありますが、それ込みでも十分使いやすく、使い続けるうちにその欠点すら消えてしまうわけで、まさに最強の一本と言わざるを得ないペンとなっております。
書き味総評
評価:A
そこそこ高い剛性感の具合に加えて、重量もそこそこあってペン先のブレに関してはゼロですから、ただ重いだけのペンと比較しても満足度の高いコツコツ感を感じることができるでしょう。
総括
S20は、書きやすさと書き味に優れた素晴らしいシャープペンです。
一方で、落下時にガイドパイプが折れやすい・初期はやや滑りやすいといった問題もあるため、1本だけ持ち歩いて使うより、他のペンと併用して使っていくことをオススメします。
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