野原工芸 木のボールペン・スタンダード:評価レビュー

文具評価

2025.07.15追記:キャップのグラつきについても言及

簡易評価

書きやすさ総評:1/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

書き味総評:5/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

概要

野原工芸より発売されている木軸のボールペンです。

一言に木軸と言ってもその種類は多種多様、一つ一つ性質が違い、特に握りやすさに違いが顕著に見られますが、材質ごとに特性が異なってくるペンとなっています。

価格は7,000円〜60,000円(税抜)と、こちらも樹種によって全く異なります(訳アリなら7,000円未満もある)。いずれにせよ、そこらで買えるペンと比較して非常に高価なペンとなっております。

使用感

長さ・重量・重心のバランス

書きやすさ:1/5点 書き味:6/5点

低重心だとか、取り回しが良いだとか、そう言った点に焦点が当てられたペンではありません。

それに加えて重量も34g以上と、よくあるペンと比較すると大変重く、汎用的なペンとは言えないでしょう。

重量バランス的にも偏りが激しく、重心も高いため軽快な書きやすさを期待して購入するものではありません。

一方、このレベルの重量感になってくると書き味に大きく貢献し、他項目の評価にもよりますが、満足度の高い剛性感が感じられるペンであると言えます。

握りやすさ・触り心地

書きやすさ:4/5点 書き味:4/5点

ここは樹種によって全然異なってくるポイントです。

例えば、私は上記4種(左から、侘寂花梨瘤、特上黒柿、ハワイアンコアカーリー、槐)のペンを持っていますが、それぞれ触り心地が違っています。「侘寂花梨瘤」と「槐」はツルツルとしたような(イメージとしては経年変化後のS20に近い)感じですが、「特上黒柿」はサラサラ(経年変化前のS20に近い)触り心地になっています。今回購入した「ハワイアンコアカーリー」はサラサラ寄りだが「特上黒柿」よりはザラザラ、やや粘り気を感じられる触り心地となっています。

その上で経年変化やオイルの使用等で、また感触が変わってきますから、具体的に評価するのがかなり難しいです。

しかし、基本的には「木」の触り心地の範囲内ではありますから、前述のイメージの通りパイロットの「S20」の経年変化前〜変化後の触り心地と大体同じくらいで、「木軸」ですから汗に強いくらいに思っておくと良いでしょう。

クリップまでの長さ・形状

書きやすさ:4/5点

木の部分だけ握ろうとすると、たまにクリップに当たります。

当たって痛くはありませんが、先の細くなっている部分が当たるため、結構違和感があります。

真鍮部分と木軸の間を握るくらいだとあまり当たらないため、特にこだわりがなければその辺りを握ると良さそうです。

また、そもそもボールペンはシャープペンシルと違い、ペンを回しながらもつ必要がないため、持つ部分に気をつければ手がクリップに当たることはなくなるでしょう。

芯・リフィルの筆記感

書きやすさ:5/5点

アクロインキと呼ばれる低粘土の油性インクが搭載されているため、油性の中でもかなり滑らかなインクです。

逆に言うと滑らかすぎて引っかかりがあまり無く、若干制御に困ることもあるかも知れません。

とはいえ、それは乱雑に書く場合に顕著に現れるようなもので、基本はスムーズに書けるため使いやすいインクとなっています。

また、利便性の項目にて述べますが、今後は別会社のリフィルも使用可能になるため、このインクが気に入らない場合はそちらに交換するのも手段としてありだと思います。

ペン先の視界・ガタつき

書きやすさ:4/5点 書き味:4/5点

リフィル先端の形状は一般的なボールペンのそれですので特別見やすいとかはありません。

ガタつきに関しても同様で、個体による差異はありますが、一般的なボールペン並みにカタカタと動くと思います。

キャップ・内部のグラつき

書き味:4/5点

個体にもよりますが、キャップとリフィルがそこそこ動きます。

ですが、キャップとリフィルが金属製だからか、内側が真鍮製だからか、あるいはその両方のおかげかわかりませんが、安っぽいグラつきではなく、剛性の感じられるグラつきですのであまり悪い印象はありません。

よって、流石に満点とは言えませんがあまり気になるものでもないでしょう。

素材・剛性感

書き味:5/5点

ここは野原工芸のペンが人気な理由の一つで、先端と後ろは黒く塗装された真鍮、内部にも真鍮や金属リフィルが使われているため高い剛性感が実感できます。

ここまで金属でしっかりと構成されたペンは、文房具系の企業のペンを含めてもそう多くはありませんので、それらと比べても高次元な書き味となっております。

ノック感・音

特に押しにくさなどないため、なんら問題なく素直にノックすることができます。

音に関しても普通にカチッとなる感じです。

耐久性

少なくとも34gと重たいペンであり、木軸ですので落とすと割れてしまう可能性があります。

落としそうな環境下では基本的に使用せず、家の勉強机など安心して使える場所に限定して使用することを推奨します。

利便性

特別な機能などはありません。

リフィルに関しては、基本はパイロットより発売されているBRFNシリーズのみ対応しています。以前は赤色インクと青色インクのものがあったのですが現在は黒色オンリー、0.5mmと0.7mmの2種類が販売されています。

ただし、今後はリフィルアダプターが買えるようになるようです。

これを用いることで、D型のリフィルに交換できるため、三菱鉛筆の「SXR-200」シリーズや、ぺんてるの「KBXES7」シリーズなどが使用可能となります。これらにより、赤色や青色のインクが再び使用可能になり、パイロット以外のインクも使えるため、特に不満なく使用することができると思います。

デザイン

シンプルに「木」を楽しむためのデザインをしていて、個人的にはこういう形は好きですが、刺さらない人には刺さらない、好みが分かれそうなデザインではあるでしょうか。

どちらかというと「芸術品」として捉えた方が良いのかもしれません。

書きやすさ総評

評価:1/5点

ペンの上下は真鍮製で重量バランスが悪く、少なくとも34gと超重量級のペンですので、書きやすいとは言えないでしょう。

慣れれば使えないこともないですが、単純に高価なペンでもありますので、学校等での使用は控えるべきかと思います。趣味として利用できる範囲で使っていきましょう。

書き味総評

評価:5/5点

重さや素材から考えると、書き味が良いペンと言えます。

ただし、内部の振動が多少あることと、ペン先がややグラつくので、同じく野原工芸から発売されているシャープペンほどの書き味とは言えません。(あくまで相対的な話ですが)

また、軸はあくまで木、剛性感を直で感じることのできる金属ではありませんので、木軸に興味が全く無いのであれば、あまり魅力に感じないかも知れません。

それでも書き味が良いペン全体で見てもかなり質が高めですので、機会があればお試しいただきたい代物となっております。

総括

野原工芸のシャープペンシルは、「木」が使われていて芸術性が高い上、書き味に優れるボールペンとなっております。

非常に人気かつ高価で入手が大変難しいですが、木が好きな方や興味のある方、もしくは高級文具に興味のある方はぜひ購入に挑んでいただきたいと思えるボールペンとなっております。

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