クルトガウッド:評価レビュー

文具評価

簡易評価

書きやすさ総評:4/5点

※書きやすさの観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

書き味総評:3/5点

※書き味の観点から評価。総評への影響度は項目により異なる。

概要

三菱鉛筆より発売されているクルトガシリーズ初の木軸シャープペンです。

「クルトガ」とは、筆記する度にペン先が回転する機構「クルトガエンジン」を搭載したシャープペンのことです。その中でもこのモデルは「ニブダンパー」と呼ばれる衝撃を和げるパーツも搭載されていて、クルトガの中でも回転時のガタつきを感じにくい仕上がりとなっています。

軸は木軸ですが、その中でも一般的には聞き馴染みのない「ウェンジュ」と呼ばれるマメ科の木材が用いられています。

価格は3,500円(税抜)とシャープペン全体で見ても高価な部類です。

使用感

長さ・重量・重心のバランス(書きやすさ:4/5点、書き味:4/5点)

重心位置や重さの分布などのバランスが取れていて、低重心よりなため書きやすい部類と言えるでしょう。

金属が多く使われているため取り回しが良いわけではないですが、比較的重めのもの(真鍮など)は、回転の中心付近に使われていることと、重心の位置がそこそこ低いことから、そういった重さをあまり感じることなく筆記することができます。

ただ、もう少し軽いペンなどと比べると高速で筆記するにはやや体力を消耗するかもしれません。

握りやすさ・触り心地(書きやすさ:4/5点 書き味:3/5点)

先の方ほど木が太くなっていくため滑り止めになっていて、木自体もカサカサデコボコしているので滑りやすいということは無さそうです。

木軸ですから汗などの水分も吸収しますし、経年変化でよりグリップ力も向上するでしょうから全く問題なく握ることができるでしょう。

ただ、触り心地は「木」という感じが強めで、個体差もあるでしょうがかなりデコボコとしています。たまに変な引っかかりを感じることもあるので割と好みは分かれるかもしれません。

また、木とアルミの境目の段差が気になるという方もいるようです。正直、個人的には「クルトガエンジン」の見える部分が手に当たった時の方が違和感を覚えました。

余談ですが軸の触り心地がクルトガメタルよりも滑らかで気持ちいいように思います。個体差かもしれませんが。

クリップまでの長さ・形状(書きやすさ:5/5点)

先の方が上に跳ねていて当たると違和感には感じると思いますが、結構高めの位置にクリップがあるのでそもそも当たりません。その上、クルトガの特性上ペンを回転させながら書く必要もないので回す時に当たるという事態も起こらず、快適に使用することができるでしょう。

芯の筆記感(書きやすさ:5/5点)

初期芯でも心地よく使うことができます。この芯が苦手な場合は、自分の好きな芯に入れ替えて使いましょう。

ペン先の視界・ガタつき、(書きやすさ:3/5点、書き味:2/5点)

3mmほどの細いパイプがあり、軸に向かって段階的に太くなっていくタイプなので視界を妨げる要素はなく見やすい部類に入るでしょう。

ガタつきに関しては、クルトガの中ではガタつきが比較的感じにくいものの、使用する紙や机によってはその動きを感じることがあります。特に気にしなければ気にならない程度ですが、完全にゼロなわけではありませんので注意が必要です。

キャップ・内部のグラつき(5/5点)

一応、キャップを指で動かすことはできますが、筆記時にグラつく感じはありませんでした。

素材・剛性感(書き味:3/5点)

芯タンクは樹脂製ですが、金属が広く使われ素材から見る剛性感は悪くありません。

ただ、木に関して、他の有名な木軸ペンと比べると、安っぽさを感じる質感で、やや剛性感を損なう原因となっているように思えます。

ノック感・音

特に痛むとかそういったことはなく普通です。強いて言うならちょっっとだけ硬めな部類といえるでしょうか。

耐久性

前述の「ニブダンパー」についてですが、これは口金との間に潤滑油のようなものを使用することで衝撃を吸収する仕組みです。「クルトガメタル」にも搭載されていますが、どちらも発売からそれほど時間が経っていないため、今後の経過は不明です。ただし、潤滑油が徐々に減少することで効果が薄れる可能性も考えられます。

軸の木に関してはやはり自然の物質ですので割れやすい可能性があります。大切に使っていきましょう。

利便性

キャップを外すと消しゴムがあります。

クルトガ全般に言えることですが、筆記時に勝手に回転する機構なため、芯の偏減りを気にせず使用することができるのでそこそこ便利に使えます。

デザイン

軸より上はアルミに細かい横線なら入ったメカメカしいデザイン、軸はウェンジュという木材が用いられていて全く異なった素材の組み合わせが中々面白く感じます。アルミも木に合った色合いが使われているため、綺麗にまとまったデザインになっています。

クルトガメタルとの互換性

この製品の元となったであろう「クルトガメタル」とは表面上からは先軸のみが違う素材でできているように見えます。しかし、分解すると両者のネジの構造が真逆でそれぞれの軸を交換して使えないようになっていました。

個人的には付け替えて使ってみたいと思っていたのでちょっと残念です。

その他注意点

先日、木軸ペンのお手入れをしている際に、木の表面がボコボコしている影響で、拭き取りに使用したセーム革が引っかかってしまい、剥がれて表面に付着する問題が発生しました。お手入れする時は、優しく拭くなど、繊細に扱うことをおすすめします。

書きやすさ総評

評価:4/5点

程よい重さ、重心低め、握りやすいグリップと、書きやすいペンであるための重要な点が抑えられています。重量バランスなどで最上級なペンには敵わない部分もありますが、クルトガの機能と美しい外観も持ち合わせてこのレベルの書きやすさなので流石は三菱鉛筆と言わざるを得ません。

書き味総評

評価:3/5点

金属が豊富に使われていて重量も悪くはないのですが、クルトガの性質上どうしても先端がガタつくため上級クラスには届かずといったところでしょう。それでも、ニブダンパーのおかげで回転している割にはガタつきを感じにくいため、そこがストレスになるということはあまりなさそうです。

総括

クルトガウッドは、書きやすさと書き味ともに悪くはなく、その上でクルトガ機構が搭載されているため普段使いでも楽しく使っていけるペンと言えるでしょう。

ただし、決して安価ではなく木自体も割れやすそうなので雑に使うのではなく、ゆったりと書く場面での使用が適切だと思われます。私自身も経年変化を楽しみながら使っていきたいと思います。

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